不妊治療関連のニュースを見かける日々
Modest-Life管理人のひなたです。
最近、不妊治療に関するテレビや雑誌のニュースや記事、特集を見かけることが多くなってきたと感じています。
今日もYahooニュースに
『不妊治療、妻に言いかけた「もうやめよう」 男も傷つく“心ない言葉” 1年半の治療が教えてくれたこと』
というタイトルで記事が掲載されていました。
その内容では、ある市議の方が
・タイミング法、人工授精・体外受精とステップアップと進めたこと
・夫、妻どちらにも体質的に問題がないと診断されていたこと
・いずれできるだろう、と思ったこと
・周囲から『子供はまだか?』と言われてきたこと
・やめようと言いかけた時、妻から『できたよ』と言われたこと
・個人個人で口には出せない悩みが必ずあるだろうこと
・悪意のない言葉で人が傷つくのかは当事者になってわかるということ
など・・・さまざまなことが書いてありました。
その中でも、私が記事中でどきりとさせられた言葉が2つありました。それが
・一番つらかったのは妻の痛々しい姿を見ること
・男性不妊で『セクハラ』とはならない世の中の意識の低さ
ということです。
今回は、これに思うことを少し書いていこうと思います。
一回目の顕微授精で授かった私でもきつかった
少しでもこのブログの過去記事を読んで頂いた方であれば、私たち夫婦が奇跡的に1回目の顕微授精で子供を授かることが出来たことは知っていてくれているものと思います。
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もちろん私たち夫婦が不妊治療をしなければならない原因は私が無精子症であったことであり、治療の流れとしてはまず私が精子があるかないか。ということが第一の関門で最大の関門でした。
そして、手術を受け幸いなことに精子があったことから、そのまま顕微授精に進むことが出来たわけです。
この記事の最初に書いたニュース記事でも同様の意味のことが書かれていたのですが、正直に行って私が不妊治療に大きく協力できたのはこの手術を受けたところまで、と言っても過言ではないと感じるんです。
いえ、
もちろん私(男)の手術も大変で、痛かったしきつかったです。
でもそれでも、手術をして自分に精子が合った瞬間からどうしても治療のバトンは妻に渡ってしまいました。
排卵誘発も、ホルモン注射も、杯戻しも、そして妊娠後の悪阻も、なにもかも。
それらの治療を受け、そして頑張ってくれるのは全て妻の方となりました。
私は見て応援して出来る限り支えようとしているだけ。それが本当に支えになっているかどうかも分からないまま見ていることしかできません。
これ、今でも思いますが結構精神的にきつかったです。たった一回の不妊治療しかしていない私ですら
『自分のせいでなんで妻にここまで辛い思いをさせなければならないんだろう』
と心のどこかでずっと申し訳ない気持ちがあったことを否定しません。実際に『ごめんね』と謝ったことも何回もありました。
なんでしょう。。。
夫婦だからこそ、一番大切にしたい人だからこそ、その人に大変なことをさせてしまっていることに対して、とても申し訳ない気持ちになってしまったんです。
そして、子供ができず不妊治療を継続せざるを得ない状況の方たちにとってはこの状況がずっと続いていることかと思います。
それがもし自分だったら、、、。おそらく多分、すぐに精神に追い込まれてしまっただろうこと、そして夫婦そのものの関係すら今とは全然違ったものになってしまったのかもしれない、そう思います。
今になって妻に言うのは何か違うと思うのでは言うつもりはないですが、本当にシレっと不妊治療に協力してくれた妻に対して感謝の気持ちはとてつもなく大きくあるのは事実です。
そして、それと同じかそれ以上に『申し訳ない』という気持ちも含まれているような複雑な感情があったりします。
~Modest Life~
セクハラは未だ女性のものか
そしてもう一つ。
女性に対する『セクハラ』への世の中の意識は、ここ最近(といっても10年前とかそこら辺から?) ずいぶんと改善されてきているのは感じられますよね。
私が勤めている会社でもセクハラに関する教育は実施されていますし、それに加えて最近はパワハラやマタハラなどへの取り組みもきちんと行われています。もちろんいくら教育したところで教育をされた人間がどう考えて取り組んでいくか、ということが大事なことは言うまでもないことでしょうけれど。
ええと、少し誤解されるような書き方になるかもしれませんが、
『やっぱり○○ハラの対応する主となるのは女性の方に思いがちだよなー』
と個人的には思います。
私が男だからというのも大きいのかもしれませんが、例えば『セクハラ』と言われて当然のように『男性も含まれる』と頭の中で考えられる人は、まだそう多くないのではないでしょうか。
まあそう考えると『不妊治療』+『セクハラ』という今までは女性にばかりが標的とされてきた組み合わせで
『全然男に関しての話は無いじゃないか!』
と憤ったところで、残念ながらそれは時期尚早なのかもしれません。
だって逆に、まだまだ一般的に見れば『不妊治療』+『セクハラ』という組み合わせだと『女性に対する話題』と言われることも多い世の中だと思うんです。
もちろん私やこのブログを見てくれる方達であれば、不妊の原因の少なくない割合で男性側にも原因があるということは常識として頭に思い浮かぶでしょうが、まだまだそうはいかないのが世の中の現状ではないでしょうし。
その上で、そんな世の中の現状があるからこそ『男性に対する、男性不妊なんてありえないという前提の偏見で成り立つセクハラ』というものもあるんだろうなー、と頭の中ではなんとなく理解は出来なくもないんです。
、、、でも、と。
個人の気持ちとして一言言わせて頂くと
『やっぱり男だって言われたら辛いよ』
と言いたいんです。
『不妊治療から逃げたやつが何言ってんだ!?』と言われることも覚悟で言うと、やっぱり自分が原因で子供を授かれていないと分かっている状況で『子供はまだなの?』と言われることは結構どきりとしましたし、胸が少なからず苦しくなりました。そして私のせいなのに同じく妻が『子供はまだなの?』と言われていることに対してはたまらなく申し訳なくなることも幾度かありました。
『別にいいじゃないか、あなたになんで言われなくちゃならないんだ!?』そう思うことも少なからずあっても、口に出して言うことはありませんでした。
『一般的に』
『今の世の中では』
不妊治療というものがまだまだ常識として理解が深まっていないことを痛感する瞬間です。
もちろん、
『すぐに世の中で男のセクハラ、特に男性不妊への理解が深まってほしい』
なんていうのは難しいことはわかっています。
ただ『男へのセクハラ』という狭い範囲じゃなくてもっと広い範囲で考えて、それぞれ男だってもちろん女性だって当然人間なんだから
『それぞれがそれぞれに事情や悩みを抱えている』
なんてことは、当然で当たり前で。
でもだからこそ、このブログを読んでいただける人だけでも良いから『悪意のないたわいもない言葉で傷つくかもしれない人がたくさんいる』ということを頭の片隅にでも良いから置いて日々の生活を送って行く人が増えていったら、少しずつ世の中が優しく良くなっていくんじゃないかな?なんて都合の良い甘ーいことを考えたりしちゃった今日この頃でした。
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